海外FXで重要と言われているのは、“約定力の高さ”
約定力とは注文通りに約定させられる力のことで、約定力は約定率で把握できます。
たとえば、約定率99%なら、100回の注文のうち99回は注文通りのレートで決済できるわけです。
残りの1回はどうなるのでしょうか?
「注文通りに決済できない」、「注文が拒否された」、「注文と違うレートで決済した」など、何らかの理由で注文通りに決済できないことを意味します。
この中で、注文のレートと違うレートで決済してしまう現象が「スリッページ」です。
海外FX業者によって約定力は異なりますが、約定力が違うということはスリッページの起こりやすさも変わってくることになります。
今回はスリッページについて紹介すると共に、各海外FX業者のスリッページについて比較してみます。
Contents
海外FXのスリッページとは?スリッページの意味
スリッページはサーバーの通信速度が遅いことや、注文がマッチングしないことで起こります。
スリッページは“見えないコスト”と言われており、頻発するとトレーダーは知らないうちに損失が増えてしまいます。
たとえば、1ドル110.30円の通貨に買い注文を入れたとします。
値動きを待って1ドル110.50円になったタイミングで決済注文を入れた場合、実際に約定したのが1ドル110.48円なら、2pipsのスリッページが発生したことになります。
つまり、2pips損をしたことになるわけです。
ちなみに、1ドル110.50円で決済したのに、1ドル110.52で決済していたら、同じスリッページでも2pips得したことになりますが、実際のトレードでは有利なスリッページが起こることはほとんどありません。
1回のスリッページで5pipsの損失が出た場合に、1日10回のスリッページが起こるとトータルで50pipsの損失が生じます。
スプレッドが狭くても、スリッページが頻発すると意味がありません。
スリッページで発生する損失はスプレッドのように見えるコストではないため、トレーダー自身がスリッページの頻度を把握することが大事です。
トレードコストは、「スプレッド+スリッページ+取引量」で決まることを覚えておきましょう。
スリッページが起こる仕組み
多くのトレーダーは、注文通りに決済できることを前提に注文を入れています。
しかし、実際のトレードでスリッページが起こることは珍しくありません。
スリッページが発生する理由は、
- レートの急変動でサーバーが追い付かない
- FX会社が意図的に起こしている
などがあります。
レートの急変動でスリッページが起こるのは、トレーダーが注文のボタンを押してから、FX会社のサーバーに届くまでの時間でレートが動いてしまうためです。
経済指標の発表前後や、レートの動きが大きい通貨ペアほどスリッページが起こりやすくなっていますが、これも注文と決済の小さな時間差で値動きが大きくなることが理由になります。
注文から決済までのスピードはサーバーの能力にも左右されるため、強固なサーバーを使っている業者ほど、スリッページの発生は少なくなります。
FX会社が意図的にスリッページを起こすケースは、海外FXだとほとんどありません。
意図的なスリッページは、国内FX業者に多いパターンです。
相対取引を導入している国内FXはトレーダーが負けるほどFX業者の利益が増える仕組みなので、意図的にスリッページを起こしてトレーダーの損失を回収します。
ただし、相対取引を導入している海外FX業者になると、同様の理由でスリッページが発生することもあります。
海外FX業者のスリッページを比較
スリッページは約定率から大まかな発生の可能性が知れますが、FOREX BROKERZというサイトではスリッページの発生度合いを紹介しています。
http://www.forexbrokerz.com/forex-slippage-execution
国内トレーダー向けにサービスを行っている海外FX業者をピックアップして、それぞれの業者のスリッページを比較してみましょう。
海外FX業者 | 平均スリッページ |
FOREX.com | 0.77 |
FXDD | 0.91 |
IronFX | 2.64 |
XM | 2.73 |
youtradeFX | 8.53 |
FXnet | 0.66 |
このように、海外FX業者によってスリッページは大きく異なることが分かります。
データは定期的に更新されているため、最新の情報をチェックしましょう。
また、国内トレーダー向けにサービスを提供している業者のデータは少ないため、海外FX業者ごとの約定率やスリッページの起こり具合を事前に調べておく必要があります。
以下の表は、日本人に人気の海外FX業者をピックアップし、約定力の高さや約定率の高さ、口コミなどを元に総合的にスリッページが起こりにくい業者をランキングにしています。
海外FX業者 | スリッページの発生頻度が少ない | ポイント |
GEMFOREX | ★★★★★ | スリッページが少ない業者として有名 |
FXDD | ★★★★★ | 1.0を下回る平均スリッページを実現 |
FXnet | ★★★★☆ | 約定率は99%超え |
FOREX.com | ★★★★☆ | 滑らない業者として人気 |
AXIORY | ★★★★☆ | スリッページの少なさが実感できる |
TitanFX | ★★★★☆ | 約定スピードが速い |
XM | ★★★★☆ | 平均的なスリッページ頻度 |
IronFX | ★★★☆☆ | 約定力がやや低め |
FBS | ★★★☆☆ | 約定率のばらつきが大きい |
youtradeFX | ★★★☆☆ | 平均スリッページが大きい |
海外FX業者のスリッページで注目するポイント
海外FX業者選びにおいて、スリッページの発生頻度が少ないことは重要なポイントです。
1日に何十、何百という取引を行なうスキャルピングが主流の海外FXでは、スリッページが頻発すると見えないコストが急速に増えます。
スリッページはスプレッドと違って、情報を詳細に出している海外FX業者は多くありません。
スリッページの少なさで海外FX業者を選ぶなら、それぞれの業者の約定力や約定率、口コミなどもチェックしてスリッページの頻度を調べる必要があります。
スリッページとレバレッジの関係
スリッページの発生頻度に、レバレッジは関係ありません。
レバレッジ10倍でも、レバレッジ100倍でも、スリッページが起こるときは起こります。
しかし、スリッページによる損失はレバレッジに比例して大きくなるので注意が必要です。
たとえば、
- 1ドル100円の通貨
- 取引量1万
- スリッページによる損失5pips
だった場合、レバレッジを使用しない場合の損失は500円です。
レバレッジをかけると、
- レバレッジ10倍を使って取引量を10万に増やすと、5pipsの損失は5000円
- レバレッジ100倍を使って取引量を100万に増やすと、5pipsの損失は5万円
になります。
レバレッジが大きいほど、スリッページの損失も大きくなるのが分かります。
スリッページが起こりやすいタイミングは、レバレッジを引き下げて運用しないと、「スリッページが原因でロスカットになった」なんてこともあり得るので気を付けましょう。
スリッページとスプレッドの違い
海外FX業者選びで重視されるのがスプレッドです。
スプレッドは「買値と売値の差分」で、注文した時点で発生している一定の損失になります。
スプレッドを気にするトレーダーは多く、
「スプレッドが狭い業者の方は小さいコストで取引できる」
「スプレッドが狭い方がスキャルピングに向いている」
など、スプレッドは狭い方が良いという声が大半です。
取引コストを抑えるためには、スプレッドが小さいに越したことはありません。
スプレッドは取引ツールにリアルタイムで記載され、トレーダーが把握しやすいので、スプレッドを売りにする海外FX業者はたくさんあります。
しかし、スプレッドが狭い海外FX業者ほど、スリッページは起こりやすい特徴があります。
取引のトータルコストは、「スプレッド+スリッページ+取引手数料」になるため、スプレッドが狭い業者はスリッページでコストを回収するのです。
スプレッドとスリッページは、一見すると無関係のように思うかもしれませんが、スプレッドが狭くてもスリッページが多発しては意味がありません。
スプレッドの狭さだけで業者を選ぶのではなく、スリッページも考慮しての業者選びが必要です。
スリッページの重要度は取引スタイルごとに違う
スリッページの重要度は、取引スタイルごとによって異なることも覚えておきましょう。
たとえば、20回の取引で5pipsのスリッページが1回発生するとします。
- 1日100回の取引をするスキャルピング
- 1日1回の取引をするデイトレード
- 10日で1回の取引をするスイングトレード
の取引スタイルで比較した場合、
- スキャルピングだと1日あたりの損失は25pips
- デイトレードだと20日で5pipsの損失
- スイングトレードだと200日で5pipsの損失
になります。
取引回数が多いスキャルピングだと、スリッページの発生頻度は重要ですが、取引回数が少ないスイングトレードやデイトレードにおいて、スリッページの重要性はそこまで高くないことが分かります。
しかし、スキャルピングは海外FXにおける主流の取引スタイルです。
スキャルピング取引をする以上、やはりスリッページには注意しなければなりません。
指値注文だとスリッページは起こりにくい
スリッページが起こりやすい注文方法は、
- 成行注文
- 逆指値注文
です。
成行注文はチャートの動きを見ながら、自分自身のタイミングで注文する方法、逆指値注文は事前にレートを指定し、今よりも不利なレートで約定させる方法です。
逆指値は損切りに使われることが多く、スリッページによって指定したレートよりも、さらに大きな損失を抱えた状態で決済することもあります。
一方、指値注文は、買い注文であれば今の価格よりも安い価格で注文を出す、売り注文なら今の価格よりも高い値段で注文を入れる方法です。
今より、有利なレートで取引したいときに使用するのが、指値注文になります。
一部のFX業者では、指値注文でもスリッページが発生するところもありますが、基本的に海外FX業者の多くは、指値注文でスリッページは起こりません。
成行注文は手動で注文を入れるため、注文と約定のレートがずれることは想像しやすいと思います。
しかし、事前にレートを指定しておく逆指値注文でスリッページが起こるのはなぜでしょうか?
指値注文だと、指定したレートに達した時点で売買をしますが、逆指値注文だと、指定したレートに達した時点で成行注文を出して売買を行うことが理由です。
指値注文は注文した時点で相手を待っている状態なのでスリッページは起こりません。
逆指値注文は指定したレートに達した時点で売買相手を探すことになるため、注文と決済のレートがずれてスリッページが起こるわけです。
そのため、利益確定のために指値注文を使うならスリッページの心配はありませんが、損切りのために逆指値を使う場合や、チャートを見ながら成行注文を入れる場合は、スリッページに気を付ける必要があります。
スリッページは防げるのか?
数pipsの利益を狙うような、海外FXのスキャルピングにおいて、スリッページの頻発は命取り。
できれば避けたいスリッページですが、スリッページを防ぐ方法はいくつかあります。
ここでは、スリッページを減らすコツを見ていきましょう。
スリッページ設定をする
海外FX業者の多くは、トレーダー自身がスリッページの許容幅の設定ができます。
たとえば、スリッページの許容幅を5pipsに指定しておけば、それ以上のスリッページは発生しません。
だとすれば、許容幅を短くすれば良いのでは?と思うかもしれませんが、スリッページの許容幅を超えて約定すると、注文自体が不成立になってしまい、利益を得るチャンスも逃します。
スリッページの設定欄があることからも分かるように、海外FXではある程度のスリッページは避けられません。
「スリッページは起こるもの」と捉えた上で取引することが大事です。
その上で、スリッページの許容幅を設定して取引をしましょう。
スリッページの許容幅は、レートの動きの大きさや取引スタイルによって変えるのがポイントです。
数pipsの利益を狙いに行くようなスキャルピングなら、スリッページの許容幅は1pips程度、経済指標発表前後などでレートが活発に動いているときは、5pipsくらいまで許容幅を引き上げると良いでしょう。
約定率が高い海外FX業者を利用する
スリッページは、約定率が高い海外FX業者の利用で防ぐこともできます。
約定率は注文通りに約定させられる確率のことで、約定率が90%なら100回の注文のうち、90回は注文通りに約定できることを意味します。
残りの10回は、スリッページやリクオート、注文不成立などによって約定できなかったことを意味します。
約定率が高い業者であれば、スリッページが発生する確率も低くなるため、スリッページも防げるわけです。
ただし、約定率は注文ができないケースも含んでいるため、
“約定率が低い=スリッページが多い”
わけではありません。
誤解しないようにしてください。
約定率は、トレーダーが海外FX業者選びで重視するポイントであるため、多くの海外FX業者が調査して公式で発表しています。
スキャルピング中心であれば、約定率は99%越えを実現している業者が望ましいです。
たとえば、海外FX業者GEMFOREXだと約定率は99.79%を実現しており、スリッページが少ない業者として広く認知されています。
ハイレバレッジトレードではスリッページに要注意
スリッページは、注文したレートと決済したレートの差分です。
値動きが大きくなっている相場や、通貨ペアで取引する場合はスリッページの発生頻度が増えます。
一方、値動きが小さな相場や安定した通貨ペアならスリッページの発生はほとんどありません。
海外FXのスリッページは、国内FXのスリッページのように業者が意図的に起こすのではなく、サーバーのスピードやカバーできないことが主な原因です。
スリッページを少しでも防ぐなら、値動きが小さなタイミングや通貨を狙って取引しましょう。
レバレッジを使って取引量を増やしていると、スリッページの損失もレバレッジの大きさに比例します。
ハイレバレッジトレードをするなら、余分な損失を増やさないためにもスリッページが少ない業者選びが大切です。
海外FX業者の平均スリッページや、約定力、約定率などは刻々と変化するので、最新のスリッページを確認しましょう。
海外FXのスリッページまとめ
海外FXのスリッページについて紹介してきましたが、スキャルピングが多い海外FX業者では国内FXに比べてスリッページの発生率が重要になります。
スリッページは許容スリッページを設定することや、約定率が高い海外FX業者選びをすることで防ぐことも可能です。
海外FX業者選びでスプレッドを重視する人も多いですが、取引のコストで業者を選ぶなら、「スプレッド」「スリッページ」「取引手数料」のトータルを重視してください。
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最大レバレッジ | ロスカット水準 | ゼロカット | 約定率 |
5000倍 | 20% | 〇 | 99.79% |
最低取引枚数 | ドル円スプレッド | 手数料 | 日本語サポート |
1,000通貨 | 1.2pips | 無料 | 24時間 |
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